キッチンのシンクに立ちながら、彼女は洗い物をしていた。薄いグレーのブラウスに、ゆったりしたベージュのパンツ。その上からベージュのエプロンを締めていて、後ろから見ると腰のあたりが少しふっくらとしているのがわかる。味噌汁の残り香と、洗剤の匂いが混ざっている午後だった。
俺は冷蔵庫から冷えた麦茶を取り出し、コップに注いで彼女に差し出した。彼女は振り返り、軽く微笑んで受け取った。「ありがとう。今日も来てくれて嬉しいわ」
これが、家族が帰省している間の、いつものやりとりだ。
彼女のことは、ここでは美和さんと呼ぶ。46歳の専業主婦。夫は忙しい会社員で、高校生の息子と中学生の娘がいる。俺は37歳。営業職の会社員で、独身。美和さんとの関係は、もう5年近く続いている。最初は共通の知人の紹介で知り合って、仕事の愚痴を聞いてもらううちに自然と体の関係になった。どちらも都合がいい相手だった。彼女は夫との夜の営みがほとんどなくなって久しいと言っていたし、俺も深い関係を求める余裕がなかった。
家族が夫の実家に帰省するのは、毎年のお盆や正月のほか、たまに長い連休もある。そのたびに美和さんから「空いてる?」と短いメッセージが来る。俺は仕事を調整して、昼間に彼女の家を訪れる。彼女の方から俺の部屋に来ることはほとんどない。家を長く空けるのが不安な性格で、家族がいない間に洗濯や掃除をまとめて済ませておきたいという理由もある。帰ってきた時にきちんとした状態で迎えたい、という気持ちが強いのだ。だから自然と、彼女の家で会う形になる。
夫からも「明日の夜には帰るよ」と連絡が来ているらしく、彼女はスマホを時々確認しながら「今日中なら大丈夫。明日の夕方までは空けないわ」と事前に教えてくれる。突然帰ってくる可能性は低いが、念のため玄関の鍵は二重にかけ、俺も車は少し離れた場所に停めるようにしている。そういう小さな回避策を、二人で無言のうちに共有している。
その日は、午前中に洗濯物を干し終えたところで俺が到着した。美和さんの服はいつものように地味で落ち着いた色合いだ。派手なものは身につけない人で、今日もくすんだトーンの服を選んでいる。髪は軽くまとめていて、首筋に少し汗が光っていた。暑い季節だった。
「ちょうどいいところに来たわね。干し終わったばかりだから、一緒に畳んでくれる?」
彼女はそう言いながら、リビングの床に大きなシーツを広げ、干したばかりのタオルや下着を広げ始めた。俺も隣に座って、無言で手伝い始める。彼女の手が時々俺の手に触れる。柔らかい指先。指の腹が少し湿っているのは、汗か、それとも洗い物の残りか。
畳みながら、彼女がぽつりと言った。「やっぱり、誰もいないと楽ね。でも、ちょっと寂しい時もあるのよ」
俺は何も答えず、彼女の横顔を見た。目元に少し影がある。日常の疲れと、家族がいるのに一人でいる時間の間で揺れているような顔だった。体は全体的に柔らかく、腰やお尻に自然と肉がついている。自分では気にしているようだが、俺はその感触が好きだった。
シーツを畳み終えると、彼女は立ち上がってキッチンに向かった。「お昼、簡単に作るわよ。カレーでいい?」
俺は頷いて後を追った。キッチンで彼女が野菜を切り始めると、俺は後ろからそっと腰に手を回した。エプロンの生地越しに、柔らかいお腹の感触が伝わる。腰のあたりに肉が乗っているのがわかる。彼女は包丁を止めずに、小さく息を吐いた。
「ん…もう、始まるの?」
声に少し笑みが混じっている。俺は彼女の耳元に顔を寄せて、首筋にキスをした。汗の匂いと、薄い香りが混ざる。彼女はゆっくりと体を預けてきた。
包丁を置き、シンクに手をついて体を預ける。俺はエプロンの紐をほどき、ブラウスの裾から手を入れて、ブラの上から胸を揉んだ。柔らかい。指の間に肉が逃げる感触。乳首がすでに硬くなっているのがわかる。彼女は低く喘いだ。
「洗ってないから…汚いよ」
「構わない」
俺は彼女のパンツを下ろし、下着ごと下げた。薄いベージュのショーツだった。レースもなく、実用的なもの。彼女は日常的にそういう地味な下着を選ぶ。ショーツをずらすと、すでに湿っていた。指で触れると、熱くてぬるぬるした感触が指先にまとわりつく。中の温度が高くて、指を入れると内壁がすぐに吸いついてくる。
彼女はシンクに手をついたまま、脚を少し開いた。俺はズボンを下ろし、準備をしてから、ゆっくりと後ろから入った。最初は抵抗があるように感じたが、すぐに内側が広がって、熱が包み込んでくる。彼女の内壁が、俺のものを締めつけてくる感触。温度が高い。押し広げられる感覚が、彼女の体にも伝わっているのがわかった。
「あっ…ゆっくり…」
彼女の声が、少し掠れている。俺は腰をゆっくり動かし始めた。キッチンのシンクに手をついた彼女の背中が、動きに合わせて揺れる。エプロンがまだ腰にかかったままで、生地が擦れる音がする。肌と肌が触れ合う湿った音。彼女の吐息が、シンクの水滴の音に混ざる。
少しずつ動きを速めると、彼女の声が大きくなった。「んっ…そこ…深い…」
俺は彼女の腰をしっかり掴んで、奥まで押し込む。彼女の内壁が収縮して、熱が波のように伝わってくる。匂いが濃くなる。愛液の匂いと、汗の匂いが混ざって、キッチンの空気を変えていく。
彼女は突然、手を伸ばして俺の手を握った。「待って…ちょっと…声、出ちゃう…」
でも俺は止めなかった。動きを少し緩めて、深く沈めるようにした。彼女の脚が震え始めた。内壁が強く締めつけてくる。息が浅くなって、途切れ途切れに声が漏れる。
「イキそう…あ、だめ…」
彼女の体が硬直して、それから一気に緩んだ。内壁が脈打つように収縮して、熱いものが溢れてくる感触。俺もそれに誘われるように、奥で出した。彼女の中に、熱が広がっていく。脚の先まで力が抜けたように、彼女はシンクに寄りかかった。
しばらくそのまま抱きしめていた。彼女の背中に額をつけて、息を整える。彼女は小さく笑った。「また、エプロンのままね…」
行為が終わると、彼女はすぐに下着を上げ、エプロンを結び直した。「カレー、作るわよ。食べてから、また午後ね」
そう言って、何事もなかったように野菜を切り始めた。俺はシンクで手を洗いながら、彼女の横顔を見た。まだ少し顔が赤い。でも、日常に戻るのが早い。それが、この関係のいいところでもあり、少し寂しいところでもある。
昼食を済ませた後も、彼女は同じ地味な服のままだった。午後、リビングでアイロンをかけている最中に、また始まった。アイロン台の横で彼女をソファに押し倒す。今度は正面から。彼女の脚を開いて、ゆっくり沈めていく。挿入した瞬間、彼女の内側が押し広げられる感覚が、俺にも伝わってくるようだった。彼女は目を閉じて、唇を噛んだ。
「熱い…奥まで…」
動きを少しずつ速めていくと、彼女の声が断片的になっていく。「んっ…あっ…そこ…好き…」
思考が快楽に塗りつぶされていくような顔だった。俺も、彼女の柔らかくて熱い内側に、何度も突き入れた。彼女の脚が俺の腰に巻きつき、足首が震える。絶頂が近づくと、彼女の内壁が不規則に収縮し始めて、息が止まるようになった。
「イク…イッちゃう…」
彼女の体が弓なりに反って、長く震えた。俺もそれに合わせて、奥で解放した。彼女の中で、熱が混ざる感触。
夕食の準備中にもう一度。コンロの前で立ちながら、短い時間で深く重ねた。夜はベッドで、今度は急がずに時間をかけて。一日の中で何度も。家事の合間に、まるで予定された休憩のように。彼女は行為の後も、すぐに次の家事に戻る。洗濯ものを取り込み、夕飯の味噌汁を作り、明日の準備をする。
家族が帰ってくる前日、彼女はスマホを確認しながら「明日の夜には本当に戻ってくるみたい。今日でおしまいにしよう」と笑って、俺を見送った。玄関で軽くキスをして。いつものことだ。
何年も続くこの関係は、都合がいい。でも、彼女の家の日常に入り込んでいる時間は、どこか現実離れしていて、終わった後に少し虚しさが残る。彼女も同じなのかもしれない。でも、お互いにそれを口にはしない。次に家族が帰省するまで、俺たちはまた、それぞれの日常に戻る。


